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「し」の方言集

相馬地方で使われてきた「し」で始まる方言87語をまとめました。
それぞれの言葉の意味も記載しています。懐かしい表現をぜひご覧ください。

語句 品詞 意味 用例 備考
じぇじぇ 呼びかけ いいからいいから。 「じぇじぇ、あがっせ。」 「いいからいいから、食べなさい。」
しが 名詞 つらら。 「すがこ」とも言う。
しがこ
じがため 名詞
(行事)
結婚式前夜に新郎新婦の親類縁者や友人が集まって催す宴会。 漢字では「地固め」と書く。
しがむ 動詞
(五段)
食べ物などを良く噛んだりしゃぶったりして味わう。 「するめしがんでだっけ味なぐなっちまった。」 「するめをずっと噛んでたら味がなくなってしまった。」
しきしゃあてる 動詞
(下一段)
つぎはぎをする。補修する。 発音は「しきしゃあでる」。
じくねる 動詞
(下一段)
すねる。すねてぐずぐずする。 発音は「じぐねる」。
~しけ 推量の助動詞
伝聞の助動詞
~らしい。 「明日は寒いんだしけなぁ。」 「明日は寒いらしいね。」 同意語:「~すけ」
じごっと 副詞
動詞(サ変)
太くて丈が低くてしっかりしている。 「この苗はじごっとしてでいいなぁ。」 「この苗は太くてたけが低くてしっかりしていていい。」 人に対しても使用。
しじゃかぶ 名詞+
接尾語
ひざ。ひざ小僧。 同意語:「ひざかぶ」
ししょねぇ 形容詞 仕様がない。仕方ない。 同意語:「しょうねえ」
しずむ 動詞
(五段)
(湯、浴槽などに)浸かる。 「湯さちゃんとしずめ。」 「お湯にちゃんと浸かりなさい。」
~した 終助詞 ~なあ。感動・詠嘆を表す。 「きれいだしたぁ。」 「きれいだなぁ。」
~したごんじゃら 過去の助動詞
(仮定形)
~したならば。 「風呂さ入ったごんじゃら寝ろ。」 「風呂に入ったなら寝なさい。」
したぎ 名詞 つば。唾液。
したす 動詞
(五段)
浸す。 「水さしたす。」 訳:「水に浸す。」
じたなげ 名詞 勢いよく物を投げつけること。 発音は「じだなげ」
したむ 動詞
(五段)
水を切る。 「野菜の水をしたむ。」 「野菜の水を切る。」
~したらば 過去の助動詞
(仮定形)
~したならば。
したんど 名詞 居間。囲炉裏のある部屋。
したろ
しっ~ 接頭語(強調) 主にた行、さ行の動詞(「ちぎれる」「ちらかす」「裂く」など)の前につくことにより
その意味を強調する。命令形(「下がれ」など)につく場合もある。
しっか 動詞(五段)+
終助詞「か」
するか。しようか。 「練習しっか。」 「練習しようか。」
しっかく 動詞
(五段)
ひっかく。 発音は「しっがぐ」
しったぎる 強調の接頭語+
動詞(五段)
引きちぎる。
じっち 名詞 おじいさん。 「ずっつ/ずさま/ずず」とも発音。
じさま
じじ
しっちゃく 強調の接頭語+
動詞(五段)
(紙などを)引き裂く。破く。 発音は「しっちゃぐ」。
しっちゃもんだ 連語+形式名詞+
助動詞
知れたものだ。言うまでもない。たいしたことではない。
しっちゃれ 強調の接頭語+
動詞(命令)
下がれ。 「車来っから、しっちゃれ。」 「車が来るから、下がりなさい。」
しっちらかす 強調の接頭語+
動詞(五段)
散らかす。
しっちゃらかす
~しった 動詞
(過去完了)
~していた。 「今テレビ見った。」 「今、テレビを見ていた。」
しったて 強調の接頭語+
動詞(命令)
立て。 発音は「しったで」。
~しって 動詞(現在進行) ~していて。 「洗濯しってテレビ見らんねがった。」 「洗濯をしていてテレビを見れなかった。」
~してでで
しっぱたく 強調の接頭語+
動詞(五段)
手荒く叩く。 発音は「しっぱだぐ」。
しっぱち 名詞 七八。七と八を続けて言うときに使う。 「二十しっぱぢぐらいだべ。」
「27,8歳くらいでしょう。」
発音は「しっぱぢ」。
しっぱね 強調の接頭語+
名詞
泥はね。
しっぱねる 強調の接頭語+
動詞(下一段)
泥がはねる。
しっぱめる 強調の接頭語+
動詞(下一段)
のどに何かをひっかけてしまい、咳き込む。 「魚の骨でしっぱめっちまった。」 「魚の骨がのどにひっかかっちゃった。」 同意語:「ひっぱめる」
しっぺぇる 強調の接頭語+
動詞(五段)
配る。 同意語:「ひっぺぇる」
しっぺさがり 名詞 目尻が下がった人。
しっぺた 名詞 野菜のヘタ。 発音は「しっぺだ」。
同意語「しぴた」
~してみせ 動詞(サ変連用形)+
動詞を補助する接続助詞+
動詞(上一段)
~してみて。 「料理してみせ。」 「料理をしてみて。」
しとうつ 動詞(五段) おふかしやおこわをふかす時
(小豆の煮汁を注ぐなどをして)湿り気をもたせ色をつけること。
しとぶつ
しなっこい 形容詞 やわらかい感触。 生のイカのような感触を例える。
しにぎり 副詞 非常にたくさん。しこたま。 「お煮しめしにぎり作っちまった。」 「お煮しめすごくたくさん作っちゃった。」 漢字で「死にぎり」と書く。
「死ぬほどいっぱい」と言う意味。
類義語:「こでっしり」「ぎっちら/ぎっちり」
~しねっか 動詞+接続助詞
(順接の仮定条件)
~しなければ。
~しねっきゃ
しぱぐった 動詞(五段・過去形) し損なった。
しぱぐっちゃ
しぴた 名詞 野菜や果物のヘタ。 「ナスのしぴた」 「ナスのヘタ」 同意語「しっぺた」
しびらっこい 形容詞 しぶとい。我慢強い。
しほんこ 名詞 歯が4本の備中鍬。水田などの粗起こしに用いる。 類義語「さんぼんこ」
しみらかす 動詞
(五段)
凍らせる。 主に保存食品(凍み餅、凍み豆腐など)を作るために凍らせる事を言う。
発音は「しみらがす」。
しみる 動詞
(上一段)
凍える。「冷える」の最上級の表現。 「一晩中外さ居だら、しみっちまう。」 「一晩中外にいたら凍えちゃう。」
しゃえ 動詞
(命令)
拾え。拾いなさい。
~しゃ 目的
対象の格助詞
~に。 「引き出っしゃ入れる」 「引き出しに入れる」
「ボーリングやっしゃんぐ」 「ボーリングをやりに行く」
しゃじぎ 名詞 大粒の雨が音を立てて降る様子。土砂降り。 「しゃじぎに降ってるした~」 「物凄い雨が降っているね。」
しゃで 名詞 実弟。 共通語の「舎弟」から来ているが「舎弟分」「義弟」の意味では使わない。
しゃっぱぐれる 動詞
(下一段)
しらを切る。しらばっくれる。 「しゃばぐっちぇんな。」 「しらばっくれてるんじゃない。」 「しゃっぱこぐ」は最近の若者方言。
しゃばぐれる
しゃっぱこぐ 動詞
(五段)
しゃっぽ 名詞 帽子。 フランス語で帽子を「シャッポ」と言うところから。
主に小高町で使用。
同意語:「ちゃっぽ(小高以外の地域で使用)」
しゃね 動詞
(否定)
知らない。 「俺はしゃねな。」 「私は知らないな。」
しゃんぷり 名詞 知らぬ顔。知らないふり。
しょいわけ 名詞 遺品分配。形見分け。 発音は「しょいわげ」。
じょう 名詞 よい子。利口。 「上」から来ていると思われる。
じょうぐち 名詞 公道から母屋までの道。門から母屋までの道。
敷地の入り口から家屋までの道。
「あの家はじょうぐぢ長いなぁ。」 「あの家は門から玄関まで長いなぁ。」 農家のつくりは一般的に公道から母屋までの道のりが長い。
発音は「じょうぐぢ」。
しょうしい 形容詞 恥ずかしい。 「しょうし」と発音することも。
しょうねぇ 形容詞 仕方ない。 「う」の発音は弱く。
同意語:「ししょね」
じょうまご 名詞 よく出来た孫。
しょぐる 動詞(五段) 負かす。打ち負かす。 「しょぐらっちぇも頑張ったど。」 「負かされても頑張ったよ。」 鹿島以北、相馬などで使われる。
同意語:「へぐる」
しょんぐる
しょごる 動詞
(五段)
子供のオムツ換えの最中におしっこをされてしまうこと。 「早ぐオムツつけねどしょごらいっと。」 「早くオムツをつけないとおしっこされちゃうよ。」
~しらいる 受身の助動詞 ~される。 「おねだりしらいる。」 「おねだりされる。」
可能の助動詞 ~できる。 「勉強を教えらいる。」 「勉強を教えることが出来る。」
しらう 動詞
(五段)
拾う。
しりめど 名詞 肛門。 「尻の目処(穴)」から。
同意語:「けつめど」
じんぎする 動詞
(サ変)
動詞(サ変)
しんけいたかり 名詞 気違い。 発音は「しんけたがり」
じんじょうでない 名詞
(野馬追い用語)
反則。 漢字では「尋常でない」と書く。
~しんだ 動詞(サ変)+
断定の助動詞
~するのだ。 「今日は家の掃除しんだど。」 「今日は家の掃除をするんだよ。」 同義語:「~すんだ」
どちらを使用してもよい。
じんだら 名詞 地面を平らにすること。 「せっかぐうなった畑子供たちがほごまってじんだらにしちまった。」 「せっかくうなった畑を子供たちがちょこちょこと遊びまわって平らにしてしまった。」
~しんな 動詞(サ変)+
禁止の終助詞
~するな。 「ほんなごどしんな。」 「そんなことするな。」 同義語「~すんな」
どちらを使用してもよい